Vol.2|文化は、構造を変える力を持っている

物事を変えていくのは文化だと思う。私は文化の信奉者よ。 I think the only thing that could change anything at all is culture.I believe in culture. ー Vivienne Westwood  この言葉に触れたとき、強く共感しました。 制度や技術、市場の仕組みは、確かに社会を動かします。しかし、それらの前提となる価値観そのものを変えていくのは、文化です。 人が何を美しいと感じるか。何に価値を見出すか。何を次の世代へ残したいと思うか。 その判断の基盤にあるのは、文化です。 伝統工芸もまた、単なる技術ではなく、文化の中で育まれてきました。長い時間の中で磨かれた素材の扱い方、色彩感覚、構造、余白。そこには、その土地の自然や歴史、人々の感性が織り込まれています。 そうした伝統と呼ばれる文化は、守るだけでは、やがて失われていきます。 現在の生活や価値観と接続されることで、文化は生きたものとして存在し続ける。 ファッションは、その接続を可能にする媒介の一つです。 ファッションは単なる衣服ではなく、時代の感覚や価値観を可視化する文化でもあります。 素材、形、色、物語。それらを通して、美意識は現在の文脈の中で新たな意味を持つ。 文化は、文化によって更新されていきます。 伝統工芸の美意識もまた、新たな文化と接続されることで、現在の社会の中で機能し続ける。 その接続の中に、多様な継承の萌芽があると考えています。 私は、文化の持つその力を信じています。 関連記事:なぜ、伝統工芸にファッションが有効なのか

Vol.1|なぜ、伝統工芸にファッションが有効なのか

それは、ファッションが美意識を市場へと「接続する構造」を持っているからです。 優れた技術や美しさがあっても、それだけでは産業として成立しません。市場と接続されて初めて、価値は可視化され、価格が生まれ、継続可能になります。 接続がなければ、循環は起こりません ファッションは、物語化、ブランド形成、価格設計、流通といった複数の装置によって、美意識を、経済の文脈において新たな価値として更新し続けます。 その構造があるからこそ、生産は単発で終わらず、需要と供給が往復し、循環が生まれます。 長くその現場に身を置いてきた中で感じるのは、ファッションが持つ接続の構造が、分野を越えて応用可能な本質であるということです。 私は、その構造を“目的”ではなく“媒介”として使いたいと考えています。 伝統工芸の美意識を、新たな市場へと接続する。 接続があるから、循環が始まる。そして循環することで、継承のかたちはより多様に開かれていくと考えています。

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