Wearable Heritage Project|構造としての継承 2

ー 工芸を「素材」ではなく「構造として扱う」 伝統工芸という言葉から、多くの場合、私たちは一つの素材や技術を思い浮かべます。 織物であれば織、染めであれば染め。それぞれが独立した領域として存在し、一つの完成された技術として受け継がれてきました。 着物のリメイクもまた、そうした文脈の中にあります。 既存の着物や帯を解体し、布に戻すことで新たな形へと作り替える。 そこでは主に、織や染といった繊維としての工芸が扱われます。 一方で、このプロジェクトでは、繊維に限らず、漆、組紐、水引、つまみ細工、陶芸など、複数の工芸技術を横断的に扱います。 それらを装飾として加えるのではなく、それぞれに役割を与えながら、一つのプロダクトとして設計していきます。 工芸を素材として扱うのではなく、構造として組み込んでいます。 この違いは、見た目の問題ではなく、仕事の生まれ方に関わります。 単一の素材として扱われるとき、工芸は一つの工程として完結します。その結果、技術が使われる場は限られていきます。 しかし、複数の工芸が構造の中で組み合わされるとき、そこには複数の工程が生まれ、複数の職人の関与が必要になります。 それぞれの技術が、一つのプロダクトの中で関係性を持ち、機能することで、新しい役割を持ち始めます。 多様な用途がひらかれることで、新しい仕事が生まれます。 だからこそ、工芸を一つの素材として消費するのではなく、構造の中で機能させる必要があります。 複数の工芸を横断するということは、単に多くの技術を使うということではありません。 それぞれの技術に新たな役割を与え、現代の文脈の中で再び機能させること。 その設計そのものが、継承の構造をつくることにつながります。 継承は、構造によって成立する。 その構造を、つくりたいと考えています。  

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